歴史と由来

サポニンの名前はラテン語の「sapo(石鹸)」に由来する。水溶液が泡立つ性質から名付けられた。この界面活性作用により、古代から天然の洗浄剤として利用されてきた。

日本の「ムクロジ(無患子)」は実にサポニンを含み、石鹸代わりに使われた。正月の羽根突きの「羽子板」の黒い玉がムクロジの種子である。

生薬としてのサポニンの歴史は漢方薬そのもの。甘草(カンゾウ)のグリチルリチン、桔梗のプラティコジンなど、多くの漢方処方にサポニン含有生薬が配合されている。

科学的背景

サポニンの化学的特徴は両親媒性構造。疎水性のアグリコン部分(ステロイドまたはトリテルペン)と、親水性の糖鎖が結合。この構造が界面活性作用の源である。

生理活性:
・コレステロール吸収抑制
・抗酸化作用
・免疫調節作用
・溶血作用(高濃度で赤血球膜を破壊── これが毒性にもなりうる)

高麗人参のジンセノサイドは特殊なサポニンで、ダンマラン型トリテルペンを骨格とする。40種以上の異なるジンセノサイドが確認されており、種類によって作用が異なる。

知られざるトリビア

・カタツムリがサポニンを含む植物を避けるのは、サポニンの界面活性作用が粘膜を刺激するため。

・ドクダミ茶のあの独特の味わいにもサポニンが関与している。

限界と論争

サポニンの溶血作用は諸刃の剣。適量では有益な生理活性を示すが、大量摂取は消化管刺激や溶血を引き起こす可能性がある。ただし、通常の食事や漢方薬の使用量では問題にならない。

参考文献

・Hostettmann K, Marston A. "Saponins." Cambridge University Press. 1995.
・Podolak I, et al. "Saponins as cytotoxic agents: a review." Phytochem Rev. 2010.