漢方と中医学の違い

「漢方」は日本独自の伝統医学。中国から伝わった中医学を基盤としつつ、日本の風土と体質に合わせて独自に発展した。中国では「中医学」、韓国では「韓方(ハンバン)」と呼ばれ、それぞれ異なる体系を持つ。

日本の漢方の特徴は「実践重視」。理論よりも臨床経験を重視し、方剤(処方)の運用に長けている。一方、中医学は理論体系が精緻で、弁証論治(病態の分析と治療法の決定)のプロセスが詳細に体系化されている。

「証」とは何か

漢方では同じ頭痛でも、「冷えて血行が悪い人の頭痛」と「ストレスで気が上った人の頭痛」では処方が異なる。この患者個人の病態を「証(しょう)」と呼ぶ。

代表的な証の分類:

分類軸陽証陰証
体力実証(体力充実)虚証(体力低下)
温度熱証(暑がり)寒証(冷え性)

高麗人参は「補気」の代表生薬であり、気虚(エネルギー不足)の証に用いられる。人参湯、補中益気湯、十全大補湯など多くの処方に配合されている。

気・血・水

漢方では人体を構成する要素を「気・血・水」の三つで捉える:

── 生命エネルギー。気が不足すると「気虚」(疲労、倦怠感)、滞ると「気滞」(イライラ、膨満感)。

── 血液とその栄養機能。不足すると「血虚」(貧血、肌荒れ)、滞ると「瘀血(おけつ)」(シミ、肩こり、月経痛)。

── 血液以外の体液。偏在すると「水滞」(むくみ、めまい)。